字幕のスタイルを自由にデザインする
同じ字幕でも、番組全体のトンマナに合わせた太字の白文字にしたいときもあれば、強調したい一言だけ赤く大きくしたいときもあります。Zimakuのスタイル編集は、プロジェクト全体に効く「全体」・その話者の字幕すべてに効く「話者」・1つの字幕だけを上書きする「セグメント」の3つの範囲を切り替えながら、フォントから回転角度まで21項目を数値・カラーコード単位で作り込める機能です。
字幕スタイル編集でできること
エディタ右側のセグメントパネル上端にある「スタイル」ボタンを押すと、スタイルツールバーが開きます。ツールバー左端の「全体」「話者」「セグメント」で編集する範囲を切り替えられ、全体 → 話者 → セグメントの順に上書きされる3層構造になっています(狭い範囲の設定が優先されます)。編集できる属性は次の21項目です。
- フォント: フォントファミリー(PCにインストール済みのフォントを動的に取得した一覧からドロップダウンで選択。取得できない場合はArialにフォールバック)
- サイズ: フォントサイズ(数値入力または+/−ボタン。スライダーはありません)
- 文字色: カラーピッカー + #RRGGBB 直接入力
- 文字装飾: 太字(B)・斜体(I)・下線(U)・打ち消し線(S)の4トグル
- 縁取り: 色(カラーピッカー)と幅(数値)
- 影: 「なし / 影 / アウトライン」の3択と、影ぼかしの数値
- 背景: 背景色と背景透明度(0〜100%のスライダー)
- 表示位置: 3×3グリッドボタンから9パターンを選択
- 文字揃え: 左 / 中央 / 右(3つのトグルボタン)
- 字間・行間: それぞれ数値で調整
- 横伸縮・縦伸縮・回転: スケール(%)と回転角度(度)
- フォントフェイス: FCPXML向けのフォントフェイス名(テキスト入力)
このうち「文字揃え・行間・フォントフェイス」の3項目は、現在の既定エクスポート形式(SRT)のスタイルツールバーには表示されません。これらはPremiere Pro XMLやFinal Cut Pro形式を選んだときに表示される項目で、現時点ではこの2形式(および無地のPremiere Pro形式)は「開発中」としてエクスポート形式の選択自体が無効化されています。ただし、この3項目を含む21項目すべてはAIチャットでの提案や外部AIツールからのMCP連携では引き続き操作できます(詳しくは後述)。
デフォルト値は、フォント Noto Sans JP・サイズ48・白文字(#FFFFFF)・黒縁取り幅2・影なし・背景透明・位置は画面下中央・中央揃えです。何も変更しなければこの見た目で書き出されます。
使い方
全体のスタイルを編集する基本的な流れは次のとおりです。
- 1エディタ画面右側のセグメントパネル上端にある「スタイル」ボタン(シェブロン付き)を押して、スタイルツールバーを開きます。もう一度押すと閉じます。開いている間もセグメント一覧は見えたままです。
- 2ツールバー左端の範囲切り替えから「全体」を選びます(初期状態でも「全体」が選ばれています)。
- 3フォント・サイズ・文字色・文字装飾(B/I/U/S)・縁取り(色/幅)・影(なし/影/アウトライン、影ぼかし)・背景(色/透明度)・字間・横縦の伸縮・回転・表示位置(3×3グリッド)の各項目を、必要に応じてカラーピッカーや数値入力、ボタンで調整します。変更はその場で保存されます。
- 4話者ごとに見た目を変えたい場合は、その話者のセグメントを選んでから範囲を「話者 ○○」に切り替えます。特定の1セグメントだけ変えたい場合は、そのセグメントを選択して範囲を「セグメント N」に切り替え、上書きしたい項目だけ変更します。
- 5話者名を字幕先頭に自動表示したい場合は、設定画面の「エクスポート」セクションにある「話者名プレフィックス」欄に
[{speaker}]のようなテンプレートを入力します。 - 6書き出す前に、ヘッダーのエクスポートボタンから実行し、警告トーストが出た場合は表示された属性が今回の出力形式で保持されないことを確認します。
話者単位・セグメント単位で個別に演出する
「話者」範囲では、選択中のセグメントが属する話者に対してスタイルを設定できます。設定はその話者の字幕すべて(あとから追加された分も含む)に自動で適用されるので、「話者Aは黄色、話者Bは水色」といった色分けを1回の操作で作れます。範囲の切り替えボタンには「話者 田中」のように話者名が出ます。選択が複数の話者にまたがっているときは書き込み先が決まらないため、このボタンは押せません。
「セグメント」範囲では、選択中の1セグメントだけにスタイルを上書きできます。未設定の項目は1段上(話者、なければ全体)から継承するため、変更した項目だけがそのセグメント固有の見た目になります。強調したい発言だけ文字を大きく赤くする、といった部分演出に向いています。
2つ以上のセグメントを選んだ状態で値を変えると、「選択中の N 件に個別設定を作ります。以後この項目は全体・話者の変更に追従しません。」という確認が出ます。「個別設定として適用」を押すと選択分へ一括で適用され、直後に出る通知の「元に戻す」で1回だけ取り消せます。話者スタイルで足りる場面では、個別設定を量産せずに「話者」範囲を使うほうが後々ラクです。
その範囲で上書きした項目には由来を示すドットが付き、「セグメントの設定 3」「話者の設定 2」のように件数付きのチップが出ます。チップを開くと上書き中の項目が一覧になり、項目ごとの「全体に戻す」(1段上に話者スタイルがあるときは「話者に戻す」)や、範囲まるごとの「全体のスタイルに戻す」をそこから実行できます。解除は値のコピーではなく継承の復帰なので、戻したあとに上位を変えるとまた追従するようになります。
全体や話者を編集したときに、その項目を下位が握っていて変更が効かない場合は、「「文字色」をセグメント単位で設定しているものが 3件あります。今回の変更は反映されません。」という通知がその場に出ます。「解除して揃える」を押せばまとめて継承へ戻せますし、「そのまま」で個別設定を残すこともできます。
話者名を字幕の先頭に自動で入れる
設定画面の「エクスポート」セクション(見出し「エクスポート設定」)には、スタイルとあわせて使う「話者名プレフィックス」欄があります。テンプレート文字列に {speaker} を含めると、字幕テキストの先頭にその話者名が自動で挿入されます。例えばテンプレートを [{speaker}] にすると、入力欄の下に「プレビュー: [田中]こんにちは」のように即座にプレビュー表示が出ます。
テンプレートを空欄にすればこの機能は無効になり、話者が割り当てられていないセグメントにはプレフィックスは付与されません(最大200文字)。
書き出し形式によってスタイルの反映が変わる
作り込んだスタイルがそのまま書き出せるとは限りません。プレーンなSRTはスタイル情報を一切保持できず、Premiere Pro向けのSRTやPremiere Pro XML、Final Cut Pro XML、字幕焼き込みのMP4はそれぞれ対応できる属性の範囲が異なります。
エクスポート時に、選んだ出力形式では保持できないスタイル属性を使っている場合(または動画ファイルの情報取得=probeに失敗した場合)、「この出力形式では次のスタイルは保持されません: ○○、○○」という警告トーストが表示されます。書き出してから「思っていた見た目と違う」となる前に、この警告で気づけます。内部的には GET /api/v1/export/capabilities/{format}/{transcription_id} が形式ごとの保持/欠落属性を返しており、警告文言もこのAPIの判定を単一の情報源としています。
AIチャット・MCP連携でスタイルを操作する
サイドバーのAIチャットに「この2行を赤字にして」「文字を大きく太字に」「影をぼかして」のように自然文で指示すると、AIが対象セグメントのスタイル変更案を作成します。これは常に提案(プロポーザル)として提示され、変更前と変更後の値を並べたdiffカードがチャット内に表示されます。内容を確認して「✓ 採用」を押すと反映され、「✗ 却下」を押すとその提案だけ取り消せます。文章の書き換えと違い、スタイル提案はいつでも提案止まりで、コード上のスラッシュコマンド権限(/edit など)を明示しなくても常に利用できます。
さらに、Claude DesktopやGemini CLIなど外部のAIツールをMCP連携(Proプラン限定・opt-in)でつなぐと、get_subtitle_style / update_subtitle_style / reset_segment_style の3つのツールから21項目すべてを直接読み書きできます。update_subtitle_style は speaker_id を渡すと話者単位のスタイルに書き込め、clear_fields にフィールド名を指定すると、そのフィールドだけ1段上への継承状態に戻せます。アプリ内エディタと同じスタイルモデルを共有しているため、MCP経由の変更もすぐにエディタ側に反映されます。
コツ・補足
- デフォルトのスタイルはフォント Noto Sans JP・サイズ48・白文字・黒縁取り幅2・位置は画面下中央です。まずはこの初期値から必要な項目だけ変えていくと迷いません。
- 個別設定を取り消したいときは、「セグメントの設定 N」「話者の設定 N」チップから項目単位で戻すか、「全体のスタイルに戻す」でまとめて解除します。解除は継承の復帰なので、以後は上位の変更にまた追従します。
- 「文字揃え」「行間」「フォントフェイス」は、現在のエディタでは既定のSRT形式選択時にはスタイルツールバーに表示されません(Premiere Pro XML / Final Cut Pro形式は現在「開発中」で選択できないため)。この3項目もAIチャットへの指示やMCP連携経由では今すぐ操作できます。
- 話者ごとに字幕の色を変えたいときは、セグメントを1件ずつ上書きするのではなく「話者」範囲で設定します。あとから追加されたセグメントにも自動で効くので、修正のたびに塗り直す必要がありません。
- AIチャットでのスタイル変更は必ず「提案」として表示され、✓採用を押すまでは適用されません。指示した内容と違う仕上がりになった場合は✗却下でその場で取り消せます。
- 書き出し形式ごとに保持できる属性が異なるため、凝ったスタイルを作り込んだら一度エクスポートボタンを押して警告トーストの有無を確認する習慣をつけると安心です。
よくある質問
- Zimakuで字幕の文字色やフォントを変えるにはどうすればいい?
エディタ右側のセグメントパネル上端の「スタイル」ボタンを押してスタイルツールバーを開き、範囲が「全体」になっていることを確認します。フォントはドロップダウンから選び、文字色はカラーピッカーまたは#RRGGBBのカラーコード入力欄で指定します。変更はプロジェクト全体の字幕に即座に反映されます。
- 特定の1つの字幕だけ色やサイズを変えたい場合はどうすればいい?
変更したいセグメントをセグメント一覧またはタイムラインで選択し、スタイルツールバーの範囲を「セグメント N」に切り替えます。そこで文字色やサイズなど変更したい項目だけ編集すると、そのセグメントだけが上位の設定を上書きした見た目になります。未変更の項目は1段上(話者、なければ全体)を継承します。複数のセグメントを選んだ状態で変更すると、確認のうえ選択分へ一括で適用できます。
- 話者名を字幕の先頭に自動で表示するにはどうすればいい?
設定画面の「エクスポート」セクションにある「話者名プレフィックス」欄に、{speaker}を含むテンプレート(例: [{speaker}] )を入力します。入力欄の下に反映後のプレビューが表示されます。空欄にすると無効になり、話者が割り当てられていないセグメントには付与されません。
- 話者ごとに字幕の色を変えることはできる?
できます。その話者のセグメントを選んでからスタイルツールバーの範囲を「話者 ○○」に切り替え、文字色などを設定してください。設定はその話者の字幕すべてに効き、あとから追加されたセグメントにも自動で適用されます。選択が複数の話者にまたがっていると書き込み先が決まらないため、範囲ボタンは押せません。
- AIチャットで字幕の見た目を指示することはできる?
できます。サイドバーのAIチャットに「この行を赤字にして」「文字を大きく太字に」のように指示すると、AIが変更前後を比較したスタイル変更案(diffカード)を提示します。内容を確認して「✓ 採用」を押すと反映され、「✗ 却下」でその提案だけ取り消せます。
- セグメントごとに上書きしたスタイルを元に戻すにはどうすればいい?
スタイルツールバーの「セグメントの設定 N」チップを開くと、上書き済みの項目が一覧で出ます。項目ごとに「全体に戻す」(1段上に話者スタイルがあるときは「話者に戻す」)を押すか、「全体のスタイルに戻す」でセグメントの個別設定をまとめて解除できます。解除は値のコピーではなく継承の復帰なので、以後は上位の変更にまた追従します。Claude Desktopなど外部AIツールとのMCP連携(Proプラン限定)を使っている場合は、reset_segment_styleツール、またはupdate_subtitle_styleツールのclear_fieldsでも同じことができます。
- 書き出した字幕の見た目が編集画面と違う仕上がりになるのはなぜ?
出力形式ごとに保持できるスタイル属性の範囲が異なるためです(プレーンなSRTはスタイル非対応、Premiere Pro・Final Cut Pro・字幕焼き込みMP4はそれぞれ対応範囲が異なります)。選んだ形式で保持できない属性を使っていると、エクスポート実行時に「この出力形式では次のスタイルは保持されません」という警告トーストが表示されるので、書き出し前に確認できます。