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機能ガイド 20·2026-07-18·読了 約5分

用語辞書でAIと文字起こしの精度を鍛える

番組名、社名、業界特有の言い回し。同じ誤変換を案件ごとに何度も直していませんか。Zimakuの用語辞書は、固有名詞や表記ルールを一度登録しておけば、文字起こしエンジンへのヒントとAIチャットでの校正の両方に自動で効きます。

用語辞書でできること

Zimakuの用語辞書(glossary)は、社名・番組名・専門用語などの固有名詞や表記ルールを登録しておくデータベースです。登録したエントリは2か所で使われます。ひとつは文字起こし処理そのもの。案件・話者に紐づく辞書を処理直前に自動で解決し、faster-whisperなど対応エンジンには hotwords(持続的なヒント)として、非対応エンジンには initial_prompt(フォールバック)として渡します。処理を開始する前に登録しておけば、最初から正しい表記で書き起こされ、後から直す手間が減ります。

もうひとつはAIチャットでの校正です。AIは用語辞書(厳密置換タイプ)を読み取り、登録済みの表記ルールを踏まえて提案します。会話の中で「この表記を辞書に登録して」と頼めば、AI自身が重複を確認したうえで登録することもできます(/edit ターン限定)。

4つの適用範囲と3つの登録タイプ

辞書エントリには「全体」「クライアント」「案件」「話者」の4つの適用範囲(スコープ)があります。狭いスコープが広いスコープを上書きする優先度(話者 > 案件 > クライアント > 全体)で解決されるため、会社共通の用語は「全体」に、特定案件だけの固有名詞は「案件」に、というように混ぜずに育てられます。全体以外を選ぶとID入力欄が表示され、対象のクライアントID・案件ID・話者IDを指定します(空欄なら全件が対象)。

登録種別(エントリタイプ)は3種類から選べます。

- 厳密置換: 登録した語を指定の語にそのまま置き換えます(例: 誤変換される社名を正しい表記へ)。「単語単位で一致」「大文字小文字を区別」も個別に設定できます。
- 知識メモ: 用語と説明をAIが参考にします。表記の強制ではなく、背景知識としてAIに渡す用途です。
- 修正指示: 「敬語レベルを統一」のような自由文の修正方針を登録します。

文字起こしのエンジン注入に使われるのは厳密置換タイプのみです。各エントリには「手動」「インポート」「自動提案」などの登録元(source)が記録され、誰が・何がその表記を決めたのかを追跡できます。

設定画面の用語集セクション、適用範囲選択と登録種別タブ

使い方

設定画面から用語集を開き、適用範囲と登録種別を選んでエントリを登録する基本フローです。

  1. 1ヘッダーの歯車アイコン(設定)をクリックして設定画面を開き、左のナビゲーションから「用語集」を選ぶ。
  2. 2「適用範囲」で全体・クライアント・案件・話者のいずれかを選ぶ。全体以外を選んだ場合はID入力欄にクライアントID・案件ID・話者IDを入力する(空欄なら全件が対象)。
  3. 3登録種別タブから厳密置換・知識メモ・修正指示のいずれかを選ぶ(タブ下にそれぞれの用途を説明するヒント文が表示される)。
  4. 4「+ 追加」をクリックし、厳密置換なら置換元・置換先、知識メモなら用語・別名・分野・説明、修正指示なら指示文を入力して「保存」を押す。
  5. 5登録済みのエントリは一覧から「無効化」で一時停止、「編集」で内容修正、「削除」で削除できる。
  6. 6適用範囲を「案件」にして案件IDを入力しているとき、画面下部に「学習候補(あなたの修正から)」が表示されたら内容を確認し、「登録」または「すべて登録」で辞書に反映する(自動では登録されない)。
新規エントリ作成フォーム(厳密置換)

AIチャットから辞書を編集する

AIチャットには list_glossary_entries(一覧取得、常時利用可)、add_glossary_entryremove_glossary_entry(追加・削除、/edit ターン限定)というツールが用意されています。会話の中で「『ずおん』は『随音』として辞書に登録して」のように頼むと、AIはまず一覧を確認して重複を避けたうえで、厳密置換タイプのエントリを source=ai_suggested として追加します。知識メモ・修正指示タイプの追加や、/read/propose ターンでの書き込みはできません(一覧の閲覧のみ)。AIが追加した用語も設定画面の用語集一覧に通常のエントリとして表示され、登録元の表示から後から見分けられます。

よく行う修正をAIが提案(辞書学習サジェスト)

用語集の適用範囲を「案件」にして案件IDを入力すると、その案件の補正履歴(AIチャットでの修正ややり取り)から頻出した「before → after」の修正ペアが「学習候補(あなたの修正から)」パネルに表示されます。個別の候補ごとに「登録」「却下」を選べるほか、「すべて登録」で一括登録もできます。承認した候補だけが辞書(登録元は自動提案)に入り、承認するまでは辞書は変わりません。何度も同じ直しを入力している場合、この機能が候補として拾ってくれます。

辞書学習サジェスト「学習候補」パネルの表示例

コツ・補足

辞書はチームや案件テンプレートとして使い回すこともできます。用語集画面の「JSON エクスポート」で適用範囲単位のJSONファイルを書き出し、別の案件や別メンバーの環境で「JSON インポート」から読み込めます。インポート結果は追加件数・スキップ件数・エラー件数で表示されます。

  • 文字起こしのエンジンに渡されるのは厳密置換タイプのみです。誤変換を直したいだけなら厳密置換で登録するのが確実です。
  • 同じ語を複数のスコープに登録した場合は、話者 > 案件 > クライアント > 全体の優先度で狭いスコープが勝ちます。案件固有の言い回しを追加する際は既存の全体登録と競合しないか確認しましょう。
  • AIチャットからの辞書追加は /edit ターン限定で、厳密置換タイプのみ・重複チェック付きです。知識メモや修正指示を登録したいときは設定画面から手動で追加してください。
  • 辞書学習サジェストは案件スコープ+案件ID指定時のみ表示されます。何かのグローバル辞書だけを見ているときは表示されません。
  • Windows版とmacOS版は同じTauri/React製の用語集画面を使い、「+ 追加」「JSON インポート」「JSON エクスポート」を同じ操作で利用できます。

よくある質問

Zimakuで用語辞書に固有名詞を登録するにはどうすればいい?

ヘッダーの歯車アイコン(設定)をクリックして設定画面を開き、左ナビゲーションから「用語集」を選びます。適用範囲(全体・クライアント・案件・話者)を選んだうえで「+ 追加」をクリックし、登録種別「厳密置換」で置換元・置換先を入力して「保存」を押します。

案件ごとに違う用語ルールを使い分けるにはどうすればいい?

用語集セクションの適用範囲を「案件」にして、ID入力欄に対象の案件IDを入力し、その案件専用のエントリとして登録します。優先度は話者 > 案件 > クライアント > 全体の順で、狭い範囲のエントリが広い範囲のエントリを上書きします。

AIチャットに「この表記を辞書に登録して」と頼むとどうなる?

/edit ターンであれば、AIは list_glossary_entries で既存エントリとの重複を確認したうえで add_glossary_entry を呼び、厳密置換タイプのエントリを登録元 ai_suggested として追加します。/read/propose ターンでは一覧の閲覧のみで追加はできません。また知識メモ・修正指示タイプはAIツールからは追加できません。

登録した用語は文字起こしにどう反映される?

処理を実行する際、対象の案件・話者スコープに該当する辞書エントリ(厳密置換タイプ)が優先度順に解決され、hotwords対応エンジンには hotwords として、非対応エンジンには initial_prompt として渡されます。事前に用語集へ登録しておけば、以後そのスコープに該当するジョブすべてに自動で反映されます。

よく直す表記を毎回手入力しなくて済む方法はある?

用語集セクションで適用範囲を「案件」にし、対象の案件IDを入力すると、補正履歴から頻出した修正ペアが「学習候補(あなたの修正から)」パネルに表示されます。内容を確認して「登録」(個別)または「すべて登録」を押すと辞書に反映されます。承認するまで自動では登録されません。

登録した辞書をチームや他の案件で共有するにはどうすればいい?

用語集セクションの「JSON エクスポート」で、選択中の適用範囲のエントリをJSONファイルとして書き出します。別の環境やメンバーが「JSON インポート」でそのファイルを読み込むと辞書に反映され、結果として追加件数・スキップ件数・エラー件数が表示されます。